ダイアフラムスプリング変更で“滑り感”は改善。完成に近づいたが、フィーリングは走行距離で変化する
前回までのテストで、街乗り領域(発進・半クラ)で顕在化していた「ミートの曖昧さ」や「滑っているような感触」を、明確な課題としてメーカーへフィードバックしました。
そして試走で得られたデータをもとに改善点を検討した結果、今回は ダイアフラムスプリングを変更する 方向で対策を進めることになりました。
1. またミッションを下ろす。分解・確認から再スタート
改善策が決まると、やることはシンプルですが重い作業です。
再びミッションを下ろし、クラッチを分解。ディスクの当たり面などを確認し、問題の痕跡がないかを丁寧にチェックしました。
そのうえで、新しいクラッチカバー(ダイアフラムスプリング変更仕様) を取り付け、再テストへ。
2. そもそも何が問題だと考えたのか
今回、当初の仮説はこうでした。
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つながるポイントが曖昧
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クラッチが滑っている感じがする
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つまり「クラッチミート時の問題が多い」
ただし、この“滑っている感じがする”という感覚は、あとになって迷いのポイントになります。
開発ではよくある話ですが、体感の言語化は正しい方向に導く一方で、原因切り分けを誤らせることもあります。
3. 変更の効果:まず「滑り感」は改善された
結論から言うと、今回の クラッチカバー+ダイアフラムスプリング変更 によって、
「滑っている感じがある」というフィーリングは明確に改善されました。
これは大きな前進でした。
少なくとも“滑り疑い”として感じていた要素は、仕様変更により抑えられたわけです。
4. それでも残った違和感:ミートのタイミングが掴みにくい
一方で、課題がすべて消えたわけではありません。
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クラッチミートのタイミング
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つながる/つながらないの境目
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そのあたりの違和感
この「境目が掴みにくい」感覚は、発進や極低速で操作するほどストレスになります。
競技用途では特に、操作の再現性が重要なので、ここは妥協できないポイントでした。
5. さらなる研究でフィーリングが改善。なださきパークで再試走
その後も検討と改善を重ね、最終的に クラッチミート時のフィーリングの悪さは改善。
この状態で、なださきパークでの試走を再度実行しました。
結果は――
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ミートのタイミングが改善
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つながり/滑りの不安が改善
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競技用として使える完成形に近づいた
「やっとここまで来た」という手応えがある段階です。
6. 驚いたのは“乗りやすさ”。ノーマルのようなフィーリング
そして意外だったのが、最終段階の第一印象です。
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驚くほど乗りやすい
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クラッチミートもしやすい
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「ノーマルクラッチなのでは?」と思うほど自然
競技用クラッチは、操作がシビアになりがちですが、今回の方向性はその逆でした。
扱いやすさが高く、運転のストレスが減るフィーリングになっています。
7. フィーリングは“距離で育つ”——500km、1000kmで変化
さらに興味深いのは、走行距離による変化です。
500km、1000kmと走り続けるうちに、フィーリングが変わり、
どんどん「カツッ」と繋がるような感触へ 変化していきました。
初期は自然でノーマルのように扱いやすい。
そこから慣らし・当たりが進むにつれて、繋がりが明確になっていく。
この変化は、今後の評価で重要な観察ポイントになります。
まとめ:完成に近づいた。あとは“経過観察”が勝負
今回のアップデートで、
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滑り感(と感じていた症状)の改善
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ミートの曖昧さの改善
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競技用として使えるレベルへ接近
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さらに距離によるフィーリング変化も確認
というところまで到達しました。
ただし、クラッチは短距離テストだけでは結論が出ません。
今後も試走を重ね、距離・温度・使い方の条件を変えながら、経過を追っていきたいと思います。